2009年6月19日金曜日

珈琲時間が静かに流れる北山珈琲店!(東京・上野)

 上野にある北山珈琲店に行ってきました!お店の扉には「ここは喫茶店ではありません、珈琲を味わうところです、会社の打ち合わせ等の利用はお断りします」等のようなことが書かれた張り紙が張られていて入る前は店主は気難しい人なのかと緊張しましたが、どうしても行ってみたかった珈琲店だったので恐る恐る入店しました。

大阪の方の喫茶店も紹介している甲斐みのりさんの著書を読んだことがあるのですが、この方は喫煙する方なのでこの方にとって居心地の良い喫茶店(=喫煙できる場所)というのは煙草を吸わない私の趣味と合いませんでした。なので北山珈琲店のような本格的な珈琲のみを真剣に味わって欲しいというお店にとても憧れがありました。

店内はピアノ系のジャズが流れていて薄暗いオレンジ系の照明でお酒を飲むところのような雰囲気でした。窓際はコーヒー豆が詰められた麻袋が積み上げられていて店内は船内か洞窟の中に入り込んだような感じでした。出てきたお冷は透明の氷の入ったおいしい水でした。息をする度に肺の毛細血管や皮膚からも珈琲の香り成分が入ってくるような気がしました。狭いけども安心感があるというか居心地のいいところでした。店主は年配のご夫婦で和やかな雰囲気をかもし出していました。張り紙は珈琲への愛情の裏返しのようでした。お店は珈琲豆の販売もしていて買いにきているお客さんもいました。

何にしようか悩みましたが一番オーソドックスそうなブルーマウンテンのブレンドにしました。店内に貼られていた生コーヒーエキスというのも後からとても気になりました(今度の機会に頼んでみたいな)。しばらくして出てきた珈琲はカップもソーサーも暖められていて、一方のクリームのカップは氷に浸けられて出てきました。「クリームを入れるときは私がやりますから呼んでください」と店主の奥様がおしゃってくださいました。最初の一口、二口と珈琲を口に含みました。とても濃いけれど味の丸みのある艶やかさというかとてもいい日本酒を飲んでるかのような気分がしました。この珈琲はまったく泡立っていないのでエスプレッソみたいに無理やり加圧して濃く出しているわけでもなく豆を贅沢に使っているのと淹れ方に秘密があるのではないかと思いました。

珈琲をストレートで堪能した後、奥様にクリームを入れてもらったのですが、ショ糖のような大粒の砂糖の結晶をかなり多めに小さな珈琲カップに入れて砂糖が溶けきらないように大雑把に攪拌した後、クリームをそっと珈琲の上に重層しました。「混ぜないでお召し上がりください」とのことでした。この珈琲をそっと口に含むと「あっ!」と思いました。これは口の中で味が変化する刹那の過程という動的な味の演出だったのです。珈琲は熱くさらに底に沈んだ砂糖で糖度の勾配ができていました。その上に冷たいミルクという三層構造が一瞬で口腔内で交じり合い、冷たいと熱いの温度の層の変化、苦い珈琲の層、甘い珈琲の層、ミルクの脂肪の甘みの層の味の攪拌の変化が口の中を一瞬で駆け抜けるのです。そしてカップを持ち上げて口に含む度に時間的な経過の要素で味も糖度の遷移が起こっていきました。

この今日一日で珈琲の楽しみ方やその奥深い世界の一端を垣間見ることができたのでとても幸せな気持ちになれました。帰りの東京メトロに揺られながら珈琲への陶酔感がまだ続いていました。東京に来る度にこのお店に来れたらいいなと思いましたヽ(〃^▽^〃)ノ


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2 件のコメント:

たまのママ さんのコメント...

とてもいい雰囲気の珈琲店なのですね。
その張り紙はGOO!!です。
本当に味のある珈琲を好んで飲みに来られるお客さまのためにだけ味わって飲んでもらいたいという、ご主人のこだわりなんでしょうねぇ。ステキです。
最近そういう喫茶店があまりないからいいなぁと思います。
私も一度行ってみたいです。ちょっと遠いですね。

JJ さんのコメント...

 いままで飲んだ珈琲のなかでは格というか次元が違って感じました。良い品質の豆だけを長期熟成したビンテージ珈琲豆で、その日に使う分だけを小ロットづつ焙煎しているそうです。