2008年2月29日金曜日

”おせん”と"美味しんぼ"のタケノコとすき焼き料理の比較

「 タケノコについて」
美味しんぼ
タケノコの刺身(4巻)
 朝掘りしてすぐのタケノコにはエグミがないので刺身で食べる話。

竹の子の姿焼き(49巻)
 「本当の美味の追求のためには、時に罪深いこともしなければならない」とゆう子さんは言い放ち、タケノコ山が4年間はだめになってしまうことを承知の上でタケノコを山に生えたままで焼いてしまいます。この真っ黒こげのタケノコの皮をむくと中から真っ白な蒸し焼き状態のタケノコが現れ、これを醤油と山椒の葉を添える食べると鮮烈な香りが楽しめる究極のタケノコ料理だという話。この話は、ゆう子さんの性格設定が完全に変わった基点かもしれないです。海原雄山にも初期(魯山人型人格)と後期(厳父であり人格者)という例がありますが、さすがに違和感があります。

 このタケノコの話は物語の中の作りごとではなく、作中に実在の人物である東京都港区新橋にある板前割烹料理店「京味」の主人である西健一郎氏(至高のメニューと究極のメニューとの鍋対決において、至高側の招聘料理人として登場し、ハモとマツタケ鍋やカニ鍋を調理する)が登場しているので実際にやったエピソードだと思われます。実際、後期の美味しんぼでは岸朝子や道場六三郎など実在の人物が実名で登場する話がかなりあります。

 初期の美味しんぼ(5巻)では「青竹の香り」という スズキのパイ包み焼きを超える料理としてスズキを繰り抜いた青竹の中で焼いた清冽な料理を山岡さんが竹林の土地の所有者にごちそうし、竹林の開発を改心させるエピソードもありましたが、その後の美味しんぼの大ヒットを経て雁屋氏の心の変遷が辿れるのかもしれません。


おせん(10巻)

リンプウ炊き
 タケノコの刺身を超えるものとして、干し大根と味噌をダシとして筍を炊いた精進料理である"リンプウ炊き"が出てきます。精進料理では植物系の乾物を出しとして使うことが多いそうです。簡単そうなので朝掘り以外は真似できそうです。
 バイパス工事によるタケノコ山が破壊されることを防ぎ、竹林の持ち主の筍取りの名人の老夫婦の生甲斐を守るために、おせんさんが筍料理で一肌脱ぐ話です。
 美味しんぼの美食のためならタケノコ山に火を放ち、自然破壊も辞さない姿勢に対して意図的に対比関係にあるストーリーを仕立てているのだと思います。実際、美味しんぼのやり方は一般人なら引くと思います。やっぱり、きくち正太氏はやはり"アンチ美味しんぼ"なのかな?


「新しいすき焼きの調理法について」

美味しんぼ

 海原雄山は牛肉の味を殺す料理として、すき焼きやシャブシャブを否定しますが、例外として、「どうせ食わせるのなら魯山人風すき焼きを出せ」と言います。そこで山岡さんは魯山人風すき焼きを元に、梅肉を裏ごししたものを入れたタレで食べるシャブスキーを考案します。

おせん

 関西風か関東風の調理で揉めた夫婦喧嘩の仲裁のために肉も豆腐も主役で関西でも関東でもないすき焼きをおせんさんが調理します。
 すっぽん鍋用の土鍋で牛脂で一口ステーキ大の肉を焼き、出し醤油で焼からめたものを最初に溶き卵で食べます。
 次に水切りした豆腐で油揚げをつくり、これを肉を焼いた後の鍋でだし醤油と水を足して煮込むと、豆腐に肉のエキスが移りとろける味に変わります。
 肉は高価ではない固めの普通の肉で肉の喰い応えと、その旨味を吸った柔らかい豆腐で食感の違いも楽しめるという料理でした。
 これはきくち正太氏のオリジナル料理みたいです。作品のあとがきで、自家製揚げ豆腐に凝っていた頃、安売りセールの豆腐で作ろうとしたところ、いくら温度を上げても白いままで怖くなって捨てた豆腐があったとのこと。中国毒ギョーザ事件以外にも、豆腐でも変な食材が出回っているのかな?
 

”おせん”は日本テレビで蒼井優さんの初主演でドラマ化され、4月の火曜日の夜の10:00からの枠で放映されるそうです!好きな作品がドラマ化されるのですが、江戸情緒の残る下町の雰囲気や食器や工芸品にも凝った映像美に期待したいです!(どうなるのかな?)
http://www.ntv.co.jp/osen/
 日本テレビでは美味しんぼのアニメが放映されていましたが、実写版の放映権(映像化権?)はフジテレビ系列に移っていました(スペシャル番組で山岡士郎役にTOKIO松岡昌宏さんが登場していました)。
今度は実写版同士の対決かな?

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9 件のコメント:

TAKI さんのコメント...

\(*^∇^*)/おはよ~!

「美味しんぼ」は"究極"と"至高"の料理対決が見せ場になっていて、「おせん」は"誰かの為に料理を作る"という印象を受けました。

その「おせん」がドラマ化されるんですね。なんだか見てみたくなりました。

☆.。.:*・゚☆.。.:*・゚☆.。.:*・゚☆.。.:*・゚☆.。.:*・゚☆.。.:*・゚

『ちりとてちんファン感謝祭』の放送でJJさんは映ってましたか!!よかったです。録画したDVDは永久保存版ですね。

たまのママ さんのコメント...

『美味しんぼ』は松岡クンのも、アニメ版も見てました。どっちも面白かったです。
『おせん』っていうのは本も何も見たことがないのですが、4月からはテレビ放送があるのですか。
本格的な食べ物を扱う番組は見てても楽しいから好きなので、楽しみにしてます~。。

JJ さんのコメント...

>TAKIさん

 おせんは"もてなしの心"、"江戸っ子の粋"、”日本の古き良き伝統”、"職人の手の仕事"とかが底辺にあるテーマだと思います。あとは"美味しんぼ"が常識として広めてしまった雁屋氏の独断的で偏った主観をなんとかしたいというがあると思います。

>たまのママさん

 単行本が100巻を超えてしまった"美味しんぼ"に比べると"おせん"はマイナーであまり知られていない路地裏隠れ家系の漫画だと思います。単行本の表紙は光沢紙ではなく、紙の質感を全面に出したしつらえで作者の美意識からだと思います。

 美味しんぼはいまだに全国県の味めぐりの至高・究極対決という形で連載が続いていますが、終了間近の末期症状のように内容や質はがた落ちしています。

 TV版でもやっていましたが、鍋対決で究極側が負けた理由(あのぐらいのレベルなら我が家のほうがましと思われる、他人に迎合する姿勢)のことを海原雄山まで主題で進行しているので自己否定もいいところだと思います(ネタがないからしょうがないのかな)。
 

竜田川 さんのコメント...

 美味しんぼは全県味めぐりから環境問題にテーマを移行するようですね。くいしんぼう坊バンザイで延命を続けても先細りだと判断したのでしょうかね?

JJ さんのコメント...

 新シリーズの元ネタは「ハチはなぜ大量死したのか」ローワン・ジェイコブセン (著), 中里 京子 (翻訳)と 「銀座ミツバチ物語―美味しい景観づくりのススメ」田中 淳夫 (著) のようですね!
 
 雁屋氏・編集部に初期の程頃の独自の取材力はもう望めないのかもしれませんね。

「ハチはなぜ大量死したのか」は読んだことがあります。この本の中で一番心に残ったことは、「薬剤耐性菌が出現した場合に備えて人間にとって治療の切り札になるアメリカでは養蜂や畜産などの分野での使用禁止されている新規抗生物質が、中国では無規制状態でこれらの分野にも使用され、それが食品残留物として検出されている」というような記述でした。

匿名 さんのコメント...

 安全性に全く問題のないアサヒビールのドライビールのネガティブキャンペーンはできても、あの国については雁屋さんは偏向していて、目を閉じ口を閉じ筆を折ですよね。
 反捕鯨運動を批判したあの頃の雁屋さんが初心に戻って帰ってくることを願っています。

JJ さんのコメント...

 イルカ漁を題材にした日本人へのネガティブキャンペーン映画がアカデミー賞らしいですね。日本の報道も盗撮は問題にしてもイルカ漁を擁護する気骨のある人物はテレビ局にはいないみたいです。今の鳩山政権は反米政権なのでアメリカの世論が反日に傾きつつある予兆なのかもしれませんね><

DHA さんのコメント...

今度の美味しんぼ新シリーズは名人・名店巡りで、評判のよくなかった全県巡りは途中放棄の模様。今週号で、大阪の中津のおでん屋かんさいだき 常夜燈が載っていましたが、行かれたことはありますか?出張の折に寄ってみたいので

JJ さんのコメント...

 常夜燈は行ったことはありません。部数の多いコミックス誌で紹介され、あまりに人が殺到して常連さんをはじめとした店の雰囲気を壊すことがなければいいのですが。
 取材する雁屋さんとしても社会風刺よりも名店名人めぐりの方が楽しいでしょうね